堂本光一主演の『チャーリーとチョコレート工場』ミュージカルが日本初演を迎えました。ロンドン版、ブロードウェイ版を経た今作が、独自の日本版演出で再構築され日本の演劇界に鮮烈な印象を残しました。お馴染みの映画とは違った舞台ならではの切り口で、「家族愛、夢、想像力」をテーマに観客を魅了させました。
今回は、1/11の博多座公演を実際に観劇した筆者がこのミュージカルの5つの見どころをご紹介いたします。
1. 堂本光一の圧巻のパフォーマンス
主演の堂本光一が演じるウィリー・ウォンカは、彼の歌声、ダンス、演技力が光る役どころです。意外にも、輸入ミュージカル作品は今作が初主演。しかし、それを感じさせない圧倒的な存在感とパフォーマンスが今作の世界をより一層鮮やかに、そして生き生きとさせています。お茶目なキャンディマン、工場登場時のヨボヨボお爺さん、毒っけ満載のウィリーウォンカという3人格を見事に演じ分けていました。一瞬だけ聴けるヨボヨボお爺さんの歌声が筆者のオススメシーンです。
2. 幻想的な舞台装置と衣装
このミュージカルでは、チョコレート工場の不思議な世界が舞台装置とカラフルで独創的な衣装を通じて見事に再現されています。特に2幕はじめの「ピュアイマジネーション」のシーンは圧巻です。アナログなセットとデジタルな映像の見事な融合に思わず見惚れてしまいました。全体的に「日本のエンタメ」を感じさせるポップで明るい舞台美術に加え、日本版オリジナルの「匂い」の演出には度肝を抜かされました。演出・美術面でロンドン版やブロードウェイ版にも負けない独自のパワーを放っており、常に観客を楽しませてくれました。
3. すべての世代の人が楽しめる魔法のような作品
ロアルド・ダールの不朽の名作を原作としたこの物語は、家族愛や夢、想像力を描いています。終始続くエンタメショーに身を委ね、頭を空っぽにして楽しめたかと思えば、終わってみれば心温まる物語に涙を浮かべる、そんな不思議な魔法のような作品でした。小さな子どもからお年寄りまですべての世代の観客が楽しめる内容となっています。ミュージカルに馴染みがない人にも迷いなくおすすめできる作品です。
4. 才能溢れるキャスト陣
筆者が声を大にして言いたいことは、この作品に関わるキャスト陣の素晴らしさです。まずはチャーリー・バケット役を射止めた3人の若手新星たちの実力の高さ。澄んだ歌声、名演技に心動かされます。小堺一機、観月ありさ、森公美子などの名優たちのプロの演技力には脱帽です。ほとんどのキャスト陣が複数役を担っており、早着替えや演じ分けが楽しめるのも舞台ならでは。アンサンブルも出ずっぱりで、ステージ上で繰り広げられる俳優たちの努力に目が離せませんでした。
5. 観客からの圧倒的な支持
開幕するや否や観客の反応は大絶賛の嵐です。堂本光一の演技、子役を含むキャスト全員の演技やダンスのスキルが高く評価されています。また、クリエイティブスタッフ陣への賞賛も非常に熱いように思います。舞台美術や衣装のポップでカラフルな世界観は作品の「夢、想像力」のテーマをうまく表現しており、観客の心を掴みました。加えて、筆者のオススメポイントは「日本語訳」です。歌詞や韻の語感、台詞の日本語選びが秀逸でした。聞き心地の良い語感のオンパレードで、その点にも注目して観ていただきたいです。
『チャーリーとチョコレート工場』ミュージカルは、筆者のランキングではナンバーワンに匹敵するミュージカル作品でした。耳で楽しみ、目で驚き、鼻で喜ぶ、唯一無二の高品質ミュージカルです。友人や家族を誘い合ってみんなで観てほしいですし、終わったあとは必ず笑顔で語り合える、魔法が溢れるエンタメでした。もしまだこの作品を体験していないなら、次回の上演をぜひお見逃しなく!